(社)日本ヨーガ療法学会

認定ヨーガ療法士

古市 佳也
腰痛・ひざ痛に悩む高校時代

実は、高校生になるまで悩みがないことが悩みでした。しかし、16歳の時に腰痛とひざ痛に悩まされ、近所のクリニックから大きな総合病院にまで行ったのですが良くならず、今思えば成長痛だったのかと思います。高校3年の時に、偶然、母の本棚から『ヨガ』の本を見つけたのがヨーガとの最初の出会いでした。痛みがずっとあって、レントゲンにもでないし原因がわからない、でも本にはヨーガをすると腰痛が治ると書いてあって、これだ!と思いました。

2年浪人をして大学に入ってもヨーガを続けていました。でも社会人2年目になり忙しくなったこともあって、ヨーガをやめて手軽な民間療法や整体などをはじめました。
最初に働いた会社は、特殊帯鋼の販売、焼入鋼帯、金属加工の製造、販売をする会社で、堅実で、上場していてとってもいい会社だったのですが、時代はバブルまっしぐらで、地味で面白くないなと1年で転職をし、海外のかばんを並行輸入する会社で5年働きました。会社で自家用飛行機やリゾートマンションを持っていて、社員旅行ではハワイなど、海外に行って浮かれていました。

しかし、30才を前にして会社を辞めました。毎日、浮かれて、飲み歩いて、ブランドもののスーツを着て、面白おかしく暮らしていました。しかし、ある時から、そんな生活が段々と虚しく感じるようになってきました。胸の辺りが、スー、スーとするような感じで、充実感とは程遠い状態でした。また、恥ずかしいことに、仕事が嫌いでした。土日は休みが欲しいし、でも売り上げは楽してあげたいし、後輩には売り上げで抜かされるし、上司との折り合いは悪く、行き詰ってきました。このままじゃいけないのに、上手くいかないことがあると会社や上司、世の中のせいにしていました。

ヨーガ療法との出会い

とうとう行き詰って、29歳の時に会社を辞めました。その後、何とかしないといけないと思い、当時、流行っていた自己啓発のセミナーに幾つか参加しました。また、その時バイト代が良いというとで始めた産業廃棄物を処理する会社で、人生で初めて仕事に充実感を感じました。同時に、「自分の人生これからどうなるのか」と不安をいだきながら毎日を過ごしていました。その時、叔母から「ヨガインストラクターの養成講座をやっているみたいよ。」といわれ、あるヨガの団体のところを覗きにいきました。

応対してくれたヨガの先生が、私の話を2時間、黙って聞いてくれました。こういう世界もあったのかと思い、ヨーガの世界に入りました。しかし、ポーズの形が上達したり、体の歪みが修正されると健康になるとか、体が柔らかくなると精神が安定するという理論には違和感を感じました。もっとヨーガって、奥が深いものではないかと感じていました。
それで、ヨーガ関係の書籍を読み漁り、これはと思った先生の所に足を運んで、講座に参加したり、お話を聞かせて貰うのですが、底が浅いと感じ、

満足のいくものが得られませんでした。こうやって何年か経つうちに、ヨーガは自分の人生をかけて取り組むものではないのかと思うようになり、目標を見失ったような感じでした。ある時、そんな私を見るに見かねて、知り合いのヨーガの先生が、いい先生がいるけども、行ってみる?と言われて、あまり期待をせずに行ってみました。朝7時からの修行会で、先生がゆっくりと入ってこられて、正面にお座りになられたお姿を見た時、『この人だ!』『やっと見つかった!』と思ったのが木村慧心先生でした。その時、妻も一緒に行っていたのですが妻は、私の顔をみて「あ~この人、はまった」と思ったそうです(笑)。この時私は35歳でした。
その後、福井大学でアーユルヴェーダ学会があり、木村先生もご講演をされるということで参加をしたのですが、朝、早く着いて誰もいない会場に入ってみると、木村先生ご自身がプロジェクターをつないで、スクリーンやマイクのセットをしておられ、偉い先生なのに、ご自分でされている木村慧心先生をみて、『この先生なら大丈夫!』と確信したのを今でも鮮明に覚えています。

ポーズがよく出来て、体も柔軟なのに、
冷え性も腰痛も改善してない人達

インストラクターをはじめたころはスポーツクラブで多く教えていました。多いときで週に24クラス、1日3~5クラスを教えていました。スポーツクラブに来る人は一見、とても元気そうなのですが、ヨーガのクラスに参加するのは何かを期待して来ているはずと聞いてみると、20代の若くて元気な女性たちが、酷い肩こりや便秘、冷え性、慢性の頭痛や婦人科系の疾患で悩んでいたり、色々なことでストレスまみれの状態であるということがわかってきました。
「え~。見た目と全然違うな。」というのがその時の印象です。時代はアメリカ系のパワーヨガやアシュタンガヨガの全盛期でした。でも、カラダが柔らかくてポーズがとっても美しくできる人たちが、これらの不調をヨーガでまったく改善されていないのも目にしていました。そんなときにヨーガ療法に出会いました。
そして、この生徒さんたちのメンタルを変えないと不調は良くならないなと強く感じました。ヨーガ療法じゃないと解決できないよと。

男がする仕事じゃない、
家族を養えるはずはない

2000年に独立しました。このとき、ある大手の企業で元役員をされていた方から、「ヨーガなんて男が一生かけてする仕事じゃないから止めておけ!」「嫁さんや子どもを養える仕事じゃない!」と真剣に諭されました。
2010年4月にヨーガ療法専門のスタジオをオープンしました。その時、色々な人から、「ヨーガ療法専門なんて人が来るはずがない」とか、「色んな種類のヨーガを受けられるようにした方がいい」などとアドバイスをいただきました。でも、ストレスがどんどん増えている現代に、心の方を何とかしないと、肉体の方だけをやっていてもどうにもならないという自分の思いはぶれませんでした。今は、妻と中学生、小学生の子どもが3人家族5人で楽しく慎ましく生活できています。

チェルノブイリ原発事故への
ヨーガ療法

2009年1月から2015年9月まで11回、ウクライナのキエフにヨーガ療法の指導に行かせていただいます。2010年からは、医師の指導の下で、ヨーガ療法の健康回復や健康維持について医学的効果の有無に関する調査研究を半年ごとに実施し、2013年3月に研究は終了しました。また、現地では、毎回、病院で入院している子供たちや、クリニックで通院している患者さんたちに、赤十字では高齢者に、学校では、体育の授業の一環として指導させていただき、ヨーガ療法がいかにみなさんの健康のお役に立っているのか<現場での実感>が、私の指導の源になっています。キエフでの活動はボランティアページに詳細を掲載いただいていますのでそちらをご覧ください。

スポーツクラブ、高等学校、
福祉施設、そして世界へ

様々な現場でヨーガ療法をお伝えし、世界で通用することを実感できたのが私自身にとてもとても大きなものでした。今、問題を抱えていたり、ちょっと躓いて普通の高校に通えない子供たちが通う私立高校で10年以上、他、府立高校では5年ほど授業を行っています。ここは、基礎学力、生活態度にかなり問題がありますが、一緒にいて話をしていると、必要な時期に、必要なことをきちんと教わっていなかったのではと感じます。生徒たちは、社会から疎外されて、心の中でいろんな思いや葛藤をかかえています。そうした子供たちに、自分を客観的に観ることを体験を通して、自分の体の感覚を観察することから入ってもらっています。そして、ヨーガの聖典に記述されている言葉と同じような「人間万事塞翁が馬」とか、「利は不利に通じる」とか、「二兎を追う者は一兎をも得ず」など、諺や、偉人の言葉などを伝えたり、

また、IPS細胞でノーベル賞を取った山中伸弥先生が不器用で「ジャマ中」と言われていたけれどもそれを受け入れて成功している例などの現代の事例を伝えながら、これから社会に出ていくときに必要なこと、例えば、物事を判断する時の基準になるようなことや、自己コントロール力を身につけられるように努めています。
また、大阪府盲人福祉協会で、視覚障害を持っている方へ10年以上、伊丹市社会福祉状議会で身体障害を持っている方へも10年以上指導させていただいています。また、最近では大学院でストレスマネージメントとして、ヨーガ療法について講義をさせていただいています。

求められる所へは、どこへでも

ウクライナのキエフで活動をしていると、病院や学校などいろいろな専門機関からヨーガ療法を指導して欲しいと声をかけていただきます。例えば、病院で入院している胃潰瘍や、ぜん息の子供たちにヨーガ療法を指導したりしています。キエフ市立第2小児病院では、医師が喘息のプログラムを見て、自分たちの理論とヨーガ療法がマッチするからということで、理学療法士の先生たちが子供たちへの運動療法の指導に取り入れてくれています。
日本国内でも、海外でも来てほしいというところにはできる限り行きヨーガ療法をお伝えしたいと思っています。

[編集後記]

「医師や医療従事者は、患者にとってその人自身が薬・癒しとなるべき」という考え方が古くからあります。これは治療的自我とか治療的自己と言われますが、まさに古市先生は、優しい微笑みと空気感そして細やかな心配りで、一緒にレッスンを取材・インタビューさせていただいているだけでどんどん癒されていきました。
クラスの中では、人は3つのこと<お金、人間関係、プライド>にひっぱられ悩みが増え、カラダの不調も出てくる。しかしこれらはすべて外側のことなので、自分の内側をしっかりと観ていくこととが大事ですよ~と。貴公子のようなスラリとした佇まいと透明感のある声に癒されつつ、熱い想いがとても伝わってきました。兵庫県西宮市以外にも大阪市内でもヨーガ療法のレッスンを毎日されています。
生徒さんは老若男女。ぜひ、先生のレッスンを受けて心もカラダも軽やかに。

Information

古市 佳也(ふるいち よしなり)

ヨーガスタジオ・チャンドラ主宰、(社)日本ヨーガ療法学会 認定ヨーガ療法士
認定ヨーガ療法士会兵庫 幹事長、(社)日本統合医療学会 認定療法士(ヨーガ)、(社)日本統合医療学会 代議員
(社)エビデンスに基づく統合医療研究会 評議員、(社)日本心身医学会会員、(社)日本アーユルヴェーダ学会 評議員

ヨーガスタジオ チャンドラ/http://www.studio-chandra.jp/
チャンドラ・スクール・オブ・ヨーガ/http://www.chandra.jp/